想うままに
2008年 08月 13日
のぼり窯に火を入れて4日目、火袋の大焚き、投薪(とうたん)の時、
構内一苑に黒い煙で覆われる。
近隣の皆さんには本当に迷惑である。
「信楽の姿である。」
・・・苦情をこらえて下さることに深い感謝の念、忘れてはならない。
伝統を守る為の理解と信じている。
日本には薪以外のエネルギーは存在しない国である。
世界がこの一世紀、化石燃料を使わず薪で辛抱すれば温暖化は無かったろう。
近代化には勝てない人間社会をどう理解すれば?
サミットの話題は何であろう・・・
科学の力でもっと進むのか。
「もったいない」、「辛抱」をするのは人類であろう。
みんなで熟考しよう。
薪は人類に大きな貢献を与えてくれる。
世界中の焼物界はみんな薪から始まった。
日本の場合、赤松を筆頭に総ての樹木が焼物のエネルギーである。
必須の存在であると同時に作品、器物に燿変(ようへん)と呼ぶ様々な変化を与えてくれる。
日本では茶人を始め、これ景色(けしき)と表現し愛眼愛用している。
私はこの素晴しい変化が、絶対に同じ物が無い(出来ない)
この希少価値を好むと表現するより、尊さを感じる。止められない・・・
10日程たつと、この窯出(かまだし)をする日が来る。
何百回重ねて来たが、いつも同じ気持でこの日を待たせてくれる。
作陶から仕上げ乾燥、窯詰め、窯焚きの長い工程で、
都度微妙に原料の粘土の調合、巧み、デリケートな心配りが希望に連なる。
最後に炎が仕上げをしてくれる。
のぼり窯、それが私の命、いのちである。
もうすぐ 答えは次回に・・・
寿方記